どうも、サラリーマンで複業家のまつもとです。
この記事では「複業・副業は事業所得?雑所得?」という疑問にお答えしていきます。
会社員をしていると確定申告の機会がないことも多くて、「所得の種類」を意識することもないと思います。私自身もそうでした。
複業・副業に取り組む場合、不動産投資等でなければ、多くのケースで事業所得か?雑所得か?で迷うはずです。
事業所得に該当するかどうかの基本的な考え方と、事業所得と雑所得の違いについて解説していきますので、基本的な考え方を理解したうえで、ぜひ複業・副業に取り組んでみてください!
- 複業・副業の所得が、事業所得なのか雑所得なのか知りたい!
- 事業所得と雑所得、何が違うのか、どちらがお得なのか知りたい!
- 所得に関する基本的な考え方を理解したい!
複業・副業は事業所得?雑所得?その判断基準とは
まず結論ですが、複業・副業が「事業所得」か「雑所得」かの明確に定義された判断基準はないようです。
いきなり曖昧な結論ですが、だからこそ基本的な考え方をおさえる必要があります。
では、どんな所得であれば事業所得とされるのでしょうか?ポイントを簡単にまとめると、↓の通りです。
- 営利性・有償性があるか?
- 継続性・反復性があるか?
- 精神的・肉体的労力をかけているか?人的・物的設備があるか?
- 事業の責任を自身で負っているか?
- 一般的に職業として認知できるか?
- 帳簿を保存しているか?
それぞれのポイントについて、順番に説明していきますね。
なお、判断が難しいときは税理士に相談するのも選択肢のひとつですが、税理士によって結論が異なることもあるようですので留意してください。
※2022年11月19日追記:「売上300万円以下の複業収入は雑所得」という国税庁の見解が出されて大きな騒ぎになりましたが、パブリックコメントが殺到したようで取り下げられ、帳簿の有無で判断されるとの見解が新たに示されましたので、帳簿の重要性が高まっています!
営利性・有償性があるか?
シンプルにまとめると、利益を上げられるビジネスをしているかどうかです。
ボランティアはもちろん対象外ですが、どんなにたくさんの売上を上げていても、常にそれ以上の経費が出ていくビジネスであれば、それも営利性があるとはいえません。
継続性・反復性があるか?
「友人に頼まれて一度だけビジネスを手伝った」「年に1回程度モデルの仕事をしている」など、その収入がスポット的で継続性がないものは、事業所得とは認められません。
ただし、スポットの案件を継続的に獲得するビジネスもありますので、スポットの案件だから絶対に事業所得ではない、ということではありません。ビジネス全体として継続性があるかどうかが重要です。
精神的・肉体的労力をかけているか?人的・物的設備があるか?
時間も割かず、肉体的に負担もなく、人や設備への投資もないのであれば、やはり事業とはいえないでしょう。
趣味ではなく、ひとつのビジネスとして営んでいると胸を張っていえるくらい時間や労力、お金などの資源を投資しているかどうかは大切な判断基準のひとつです。
事業の責任を自身で負っているか?
ビジネスの責任が自分にない場合は、「自分の事業」とはいえないですよね。
例えば「事業のために自ら借金をする」「契約の義務を自身が負う」「赤字や廃業もすべて自分で責任を負う」というのは、自分でビジネスをするなら避けられないことですし、そういった実態があるかどうかもポイントになります。
一般的に職業として認知できるか?
客観的にみて職業とは言えない、ビジネスをやっているとは認められない場合、事業所得とはみなされない可能性が高いです。
何をしているか自体もそうですが、例えば名刺を作っているか、屋号はあるか、ホームページはあるか、営業活動をしているかなども材料になるでしょう。
ちなみに、従来は「オフィスがあるかどうか」も判断要素ではあったと思いますが、コロナの影響でこれだけ在宅勤務も広がったので、その重要性は薄れていると思います。
帳簿を保存しているか?
国税庁は「収入が300万円を超えない場合は雑所得」という考えを取り下げた代わりに、「所得に係る取引を記録した帳簿書類を保存すれば、事業所得」という見解を出しています。
事業所得として青色申告したい場合には、しっかり帳簿をつくっておきましょう。
ちなみに、専門知識がない場合、帳簿をつくるのは少々手間がかかります。私自身もそんなに詳しくないので、帳簿作成は「freee会計」に頼っています。経理の専門知識がない人にとって分かりやすい仕組みになっており、まさに複業・副業に向いたシステムなのでおすすめです。
事業所得と判断したら開業届を出しましょう!
これまで説明したポイントを踏まえて、事業所得にあたるかどうかを判断してみてください。ハードルが低いとはいえませんが、ひと昔前とは異なり、複業・副業であっても「事業」といえるビジネスを行っている人が多い印象はあります。
私自身も、相応の時間と労力をかけながら、ホームページやSNSも活用しつつ、継続的に利益を上げていますので、事業所得と判断して開業届を出しています。
事業所得として確定申告するためには、開業届を出す必要があります。開業届についてはこちらの記事で詳しくまとめていますので、あわせてご覧ください。
↑の記事でも紹介していますが、開業届を出すなら圧倒的に「開業freee」の利用がおすすめです。無料で、ミスなく、すばやく提出できますよ。
事業所得として確定申告するなら開業届を出そう!雑所得の場合には開業届は不要です。
事業所得と雑所得の違いとは?事業所得はメリット大!
ここまで、どんな要素を満たせば事業所得になるのか?を中心に解説してきました。これは、事業所得のほうが圧倒的にメリットが多く、事業所得とみなせるなら事業所得、そうでない場合は雑所得として確定申告するケースが多いからです。
事業所得のメリットを見てみましょう。
- 給与所得などと損益通算ができる
- 青色申告特別控除が使える(最大65万円を所得から控除できる)
- 青色事業専従者給与を適用できる
- 純損失の繰り越しと繰り戻しができる
- 30万円未満の少額減価償却資産の特例が認められる
特に、青色申告による節税効果はめちゃくちゃ大きいです。開業届を出して個人事業主となるからには、必ず使いましょう。
確定申告で青色申告特別控除を使う場合、なんとなく「準備が大変そう…」というイメージがあるかもしれませんが、これも確定申告ソフト(帳簿作成ソフト)を使えば大きな手間なく可能です。先ほど紹介したような「会計freee」などのクラウド会計ソフトを使って、さくっとやってしまいましょう。
すでに開業していてまだ使っていない、という方はすぐに登録するのをおすすめします。早く活用し始めるほど、青色申告が楽になりますよ。
1点目の損益通算も節税効果としては大きいのですが、複業・副業で継続的・意図的に活用するのは勧めません。
というのも、損益通算するケースでは「複業・副業が赤字で、その損失を給与所得と通算して課税所得を減らす」ことになりますが、言い換えると「複業・副業の事業性が怪しまれる」につながります。この点については↓の記事でも解説しています。
実際、悪質な脱税がこの方法でなされていたケースもあるので、十分に留意が必要です。
事業所得は節税メリット大。ぜひ正しく有効活用しよう!
まとめ|複業・副業の所得の考え方
この記事では、「複業・副業は事業所得なのか?雑所得なのか?」という点について、基本的な考え方と違いを解説しました。
事業所得としてみなせるかどうか迷うケースもあると思いますが、節税メリットは大きいので、せっかく取り組むからには「事業」といえるように継続的な利益を上げていきたいですね!
複業・副業を事業所得として申告する人は、忘れずに開業届を出しましょう。上でも紹介しましたが、↓の記事もあわせて読んでみてください。
何より、事業として真剣に取り組む複業・副業からは得られるものがとても多いです。この記事も参考に、本気の複業・副業に取り組んでもらえればと思います!
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